陸上自衛隊 10式戦車
レオパルト2A5戦車
APFSDS 弾
HEAT弾
ルクレール(フランス)
戦車の装甲というと、すべての面に装甲が施されている、と思っている人が多いかもしれないが、もし、そうだとすれば、物凄く重たくなり、殆んど動けなくなる。
戦車の大きな機能の一つである機動性が失われ、ただの地上に設置された、砲台になってしまう。
ここでは、戦車の装甲と戦車砲弾について、述べて見ようと思う。
まず、装甲だが、主装甲が施されているのは、戦車の砲塔の後部から見て、前方60度の範囲に限定される。
砲塔は、前面と、側面の前側1/3程度、車体は、前面と、側面の前方1/3程度である。
これらの主装甲は、鋼鉄に、セラミックを挟んだ、複合装甲と言われるもので、後述するAPFSDS弾や、HEAT弾の威力を、削ぐものである。
装甲の性能として、RHA(均質圧延鋼)の厚さに換算した値をとるが、世界で第一級と言われる戦車では、その値は60cm以上になる。
戦艦大和の最大装甲厚は、41cmと言われるので、戦車のそれは、大きく上回っている。
主装甲以外の部分は、ただの鉄板か、良くても、中空装甲だ。
特に、砲塔上面と車体底面が脆弱で、車体底面などは、せいぜいで、厚さ3.5cm程度しかなく、対戦車地雷は、ここを狙ったものだ。
次に、戦車砲弾だが、これには2種類ある。
まずは、APFSDS(Armer Percing Fin Stapirized Disposal Sabot)弾で、ロッドと呼ばれる、直径3cm、長さ40cmのタングステンで、先端は尖っており、後端は安定翼がある。
素材がタングステンなのは、できるだけ重くして、運動エネルギーを稼ぐためだが、重さから言えば、劣化ウランがいいのだが、脆くて、不適当だ。
砲弾の装薬の爆発エネルギーを運動エネルギーに変換して、砲口初速がマッハ5、射程は3kmである。
以前は、戦車の装甲は、挑弾(弾が滑って、装甲を破壊しないこと)を期待して、なるべく地面に平行に作られたが、APFSDS は、浅い角度で装甲にたっても、光が水に入ると屈折するように、当たった瞬間に、装甲に対して、直角に近い角度で侵徹する。
次は、HEAT(High Explosive Anti Tank)弾。これは、炸薬の前面を、円錐上にえぐり、爆発した瞬間に、高速・高温のジェットとなって、装甲を穿つものである。
こうした、装甲と戦車砲は、いたちごっこのように、これからも際限なく開発が続けられるだろう。
ちなみに、現代の戦車は、自分の搭載する砲で、自分の装甲を撃ったとき、装甲がそれに耐えるようになっている。
つまり、「盾」の方が優位なのだ。
現在、西側で最も多く使用されているのは、ドイツのレオパルト2A5である。
しかし、肝心のドイツでは、これを嫌う戦車兵もいるとか。重心が前過ぎて、安定が悪く、天井から吊り下げられた、対地雷用のシートは、操縦の時に安定しないと言う。
彼らが、世界の戦車に試乗して、最も評価の高かったのは、フランスのルクレールであった。
先の大戦で、敵味方に別れていた両国だが、戦車の評価では、ドイツがフランスを称賛しているのは、ちょっと皮肉だ。
願わくは、このいたちごっこが、いつかは終わるように、祈念するばかりである。
グリッペン
私の徒然です。
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